陶器の修理に関する質問と回答

修理に関するQ&A

これまでの問い合わせで多かった質問と回答をまとめてみました。修理ご依頼の際の参考にどうぞ。

  1. Q:基本料って何ですか?
    A:基本料は修理以外に掛かる料金をまとめたもので、事務手数料とお考え下さい。
    具体的には、破損状態の確認作業、見積り作成と確認通知、返却時に添付する修理資料作成、返却のための梱包および配送所での手続き、お客様への配送番号と着払い送料の通知などの諸手数料となります。
  2. Q:金継ぎと樹脂修理が同額なのは何故ですか?
    A:一つは、分かりやすい料金体系にするためです。
    もう一つは、修理完了までの材料の料金総額にあまり差が無いためです。樹脂修理は金を使用しないため安価な修理あるいは簡易修理と思われがちですが、樹脂の色調整は、金継ぎよりも材料の無駄が多く出ます(色を合わせるのが難しいためです)。さらに色数が多い場合、修理工程が増えますし、修理剤は金継ぎより多くなる時もあります。
    作業は、修理剤が固まる時間が違うだけで、金継ぎも樹脂修理も同じような工程で行われるので労力としては同程度です。
    というわけで、こうしたことを前提に整合性のある分かりやすい料金体系を考えた結果、金継ぎと樹脂修理は同じ修理計算方法で金額に差をつけないことといたしました。どうぞご理解下さい。
  3. Q:修理期間が長いと思うのですが、もう少し早く出来ませんか?
    A:ご迷惑をおかけして申し訳ありません。修理剤は接着強度や耐水性が出るまでの養生期間(漆は3週間、樹脂は72時間)が必要になるため、手順の多い修理は個々の作業で養生が必要となり、どうしても時間が長くなります。漆の場合は修理終了後、更に被れることがないよう養生期間を長めに取るようにしています。
    また、一人で修理作業をしているため、ご依頼数が多くなるとローテーションスパンが伸びて余計に時間がかかるため、お待ち頂く期間も長くなります。何卒、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
  4. Q:金継ぎと樹脂修理はどちらのほうが丈夫ですか?
    A:修理状態の強さは、さまざまな要因によって決まりますので、正確にどちらが強いと言うことはできませんが、素材の硬度は、樹脂が3〜4H(※1)なのに対して、漆は6〜8Hですから金継ぎの方が傷が付きにくく、投錨効果(※2)も高い=接着力が強いので、概ね金継ぎの方が丈夫だと言えます。特に、カップの取っ手など、小面積に大きな力がかかる部分の修理は、過去の修理統計的に金継ぎの方が長期的に持ちこたえると思います。
    しかし、接着面積が広くなると樹脂修理の方が丈夫な場合もあります。
    なお、修理後の使用上の注意は、ご依頼品返却時にプリントしたものを入れていますので、ご使用前に一読下さい。
    ※1.Hは鉛筆の芯の硬さを基準にした硬度単位で、数が大きい方が硬いことを示します。
    ※2.隙間に入り込んで硬化し、接着力を高める効果
  5. Q:金継ぎで使う原料は本物ですか?
    A:金継ぎで使用する修理剤は、天然漆(ガラス用漆)、砥粉(砥石の粉)、弁柄(純度99%以上の酸化鉄の粉)、純金や純銀を使用しています。全て人体に無害と言われているものです。合成漆や洋金(真鍮粉、マイカ粉)は使っておりません。
    ちなみに、ガラス用漆は、通常の漆よりもガラスへの接着力が強くなるよう調整された天然漆で、箕輪漆行さんで販売されているものを使用しています。詳細を知りたい方は、販売元の箕輪漆行さんにお問合せ下さい。(材料リンクのページにリンクが貼ってあります)
  6. Q:10片くらいに細かく割れているのですが直りますか?
    A:かなりの面積が粉砕したり紛失していなければ、破片数が多くても、作業期間は長くなりますが大抵は直ります。
    ただし、あまり小さな破片は、無理に使用すると接着誤差を大きくして形や修理強度に影響を与えることがあるため、支障があると判断した時は使用せずに樹脂や漆の充填で対応することがあります。残った欠片は、ご依頼品を返却する時に、ビニル袋に入れて同封いたします。ほん陶は、あくまでも再使用を前提とした修理を心がけていますので、小片まですべてを繋ぐ完全復元作業は行っておりません。何卒ご了承下さい。
  7. Q:自分で接着剤を使って直した器の再修理は可能ですか?
    A:既修理品については、表面に付着している付着物の除去(付着物除去手数料加算)および追加の金継ぎ修理のみ行います。既修理品の樹脂修理は行っておりません。
    以前は、接着剤を溶剤で溶かし分解・洗浄してから再接着をする組み直しの修理も承っていましたが、昨今の接着剤は非常に強い接着力があり、それを除去するために用いる有機溶剤もより強い物を使用しなければなりません。ですが、店主が有機溶剤に弱い体質で、強い有機溶剤を使用するとしばらく寝込んで作業に支障が出るため、勝手ながら分解してからの再修理は中止させて頂くことにいたしました。何卒、ご理解を頂ますようお願いいたします。
    なお、接着剤の種類によっては接着剤除去の方法についてはお客様にアドバイスする事は可能ですので、正規の手順にて、お客様ご自身で材料を用意し、接着剤の除去を行なって頂いたものについては、付着物除去手数料なしで修理が出来る可能性があります。
  8. Q:直せないものはありますか?
    A:直火の当たる部分や、長時間加熱される場所は修理出来ません。具体的には、土鍋、アロマポット用受け皿、白熱球を使用するスタンドなどです。樹脂と漆では耐熱温度が異なりますが、基本的にはお湯使用時(100℃未満)が上限温度と考えてください。
    また、アンティークで長期的な汚れが付着、蓄積している傷やヒビは、汚れによって修理剤が本体と密着しないため十分な接着強度を得られないことがあります。
    更に、修理後、常に湿気を伴う器(植木鉢など)は、著しく修理剤が劣化する可能性があるため修理をお断りすることがあります。
    その他、肉眼では確認できても指で触ると凹凸が分からないヒビも、修理剤が浸透しない時は修理することができません。金継ぎで表面に金層を被覆するだけでしたら可能です(被覆のみですので、ヒビ止めにはなりません)。
    写真などがプリントされた器(マグカップが多い)は、樹脂コーティングされており、樹脂を痛める可能性がある箇所の場合は基本的にはお断りしております。
    なお、こちらの作業スペースの問題で、一人で修理作業が出来ない重量物や50pを超える大きさのものは受け付けておりません。申し訳ありませんがご理解を頂きますようお願いいたします。
  9. Q:修理したところが、取れてしまいました。再修理できますか?
    A:はい。再修理いたします。
    修理は出来る限りしっかりと行っておりますが、修理剤を使用する以上、陶磁器同様の強度にはなりませんし、私自身の修理技術の未熟さもあります。また、あらゆる使用状況において修理強度が落ちないという実証が不可能なため、ほん陶では、ご依頼品の返却から1年以内を無償修理保証期間(送料のみお客様のご負担となります)とさせて頂いております。ご返却から1年以上でも割引額にて修理を行います。修理箇所を検証した際に修理技術上の問題と確認したときには無償にて修理することもあります。
    お手数をおかけして誠に申し訳ないのですが、実用的な陶器の修理技術向上のため、修理箇所が破損した時には、是非とも再修理のご連絡を頂きたくお願い申し上げます。
  10. Q:修理サンプルが少ないので、もう少し多く紹介してくれませんか?
    A:当店はお客様の個人情報保護厳守のため、ご依頼の内容や修理過程、修理品の写真をネットやメディア上に公開することは一切行わない事としております。また、今のところ現在のサンプルに追加を掲載する予定もありません。ご期待に添うことが出来ず誠に申し訳ないのですが、何卒、ご了承下さい。(修理サンプルは、ホームページを作る際、持ち主の方にお願いして了解を得たもののみ掲載いたしました。)
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