陶器の修理に関する質問と回答

修繕に関するQ&A

これまでの問い合わせで多かった質問と回答をまとめてみました。修理ご依頼の際の参考にどうぞ。

  1. Q:金継ぎと樹脂修理が同額なのは何故ですか?
    A:一つは、分かりやすい料金体系にするためです。
    もう一つは、修理完了までの修理剤の使用総料金にあまり差が無いためです。樹脂修理は金を使用しないため安価な修理あるいは簡易修理と思われがちですが、樹脂の色調整は、金継ぎよりも材料の無駄が多く出ます(色を合わせるのが難しいためです)。さらに色数が多い器の場合、修理工程が増えますし、修理剤の原価も金継ぎより高くなります。
    作業は、修理剤の混合、接着、充填、仕上と金継ぎ同様の工程で行われるので決して簡易な修理ではありません。(返却期間が金継ぎに比べて短いのは、硬化が漆よりも早いためです)
    というわけで、こうしたことを前提に整合性のある分かりやすい料金体系を考えた結果、接着長や欠損面積を基準に技術料を加算する方法をとり、金継ぎと樹脂修理で金額を区別しないことといたしました。どうぞご理解下さい。
  2. Q:修理期間が長いと思うのですが、もう少し早く出来ませんか?
    A:ご迷惑をおかけして申し訳ありません。修理剤は接着後、強度が出るまでの保持期間が必要になるため、手順の多い修理は個々の作業間で保持期間が各々必要となり、どうしても時間がかかってしまいます。また、一人で修理作業をしているので、ご依頼数が多くなるとローテーションスパンが伸びて余計に時間がかかるため、お待ち頂く期間も長くなります。何卒、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
  3. Q:金継ぎと樹脂修理はどちらのほうが丈夫ですか?
    A:修理状態の強さは、さまざまな要因によって決まりますので、正確にどちらが強いと言うことはできません。
    例えば、素材の硬度は、樹脂が3〜4H(※1)なのに対して、漆は6〜8Hですから金継ぎの方が傷が付きにくく、投錨効果(※2)も高いと言えます。
    しかし、投錨効果が効きにくい破損面(※3)や水中での陶磁器との密着性は、漆に比べると樹脂の方が強いので、接着断面が滑らかな場合や、水と接する時間が長い器の場合は樹脂修理の方が丈夫だと言えるでしょう。
    とはいえ、極端に強い力をかけたり、よほど無理な使い方をしない限り、日常使いで大きな違いはないと思います。なお、修理後の使用上の注意は、ご依頼品返却時にプリントしたものを入れていますので、ご使用前に一読下さい。
    ※1.Hは鉛筆の芯の硬さを基準にした硬度単位で、数が大きい方が硬いことを示します。
    ※2.隙間に入り込んで硬化し、接着力を高める効果
    ※3.焼成温度の高い磁器や、ボーンチャイナ(洋食器)は、破損面の平滑性が高くなり修理剤が浸透しにくくなります。
  4. Q:金継ぎで使う原料は本物ですか?
    A:金継ぎで使用する修理剤は、天然漆(MR漆)、小麦粉(粘性を高めるために使用します)、砥粉(砥石の粉)、弁柄(純度99%以上の酸化鉄の粉)、純金(24カラット)や純銀を使用しています。全て人体に無害と言われているものです。
    なお、漆は一定の硬化時間をとってから返却していますが、本漆を使っていますので肌が敏感な方は被れる危険があります。心配でしたら1ヶ月〜1年ぐらい戸棚に置いて硬化させてから使用することをお勧めします(MR漆は非加熱精製を行った本漆のため、高湿度条件でなくても硬化しやすい漆ですので、戸棚に置いておくだけで硬化が進みます。素地にもよりますが、厚さ約5mmの器の接着は約1ヶ月で硬化するのを確認しています)。また、重度小麦アレルギーの方は修理前にご連絡いただければ、小麦粉を使用せず修理を行うこともできます(修理期間および未使用保持期間が長くなります。お手元に届いてから半年以上は使用せずに静置して下さい)。
  5. Q:10片くらいに細かく割れているのですが直りますか?
    A:かなりの面積が粉砕したり紛失していなければ、破片数が多くても、作業期間は長くなりますが大抵は直ります。
    ただし、あまり小さな破片は、無理に使用すると接着誤差を大きくして形や修理強度に影響を与えることがあるため、支障があると判断した時は使用せずに樹脂や漆の充填で対応することがあります。残った欠片は、ご依頼品を返却する時に、ビニル袋に入れて同封いたします。ほん陶は、あくまでも使用を前提とした修理を心がけていますので、小片まですべてを繋ぐ完全復元作業は基本的に行いません。何卒ご了承下さい。
  6. Q:自分で接着剤を使って直した器の再修理は可能ですか?
    A:既接着済みで形になっているものは、表面に付着している接着剤の研磨除去および金蒔きのみ行います。
    以前は、接着剤を溶剤で溶かし分解・洗浄してから再接着をする修理も承っていましたが、昨今の接着剤は非常に強い接着力があり、それを除去するために用いる有機溶剤もより強い物を使用しなければなりません。ですが、店主が有機溶剤に弱い体質で、強い有機溶剤を使用するとしばらく寝込んで作業に支障が出るようになったため、勝手ながら分解してからの再修理は中止させて頂くことにいたしました。何卒、ご理解を頂ますようお願いいたします。
    なお、接着剤除去の方法についてはお客様にお伝えすることは可能ですので、お客様ご自身で材料を用意し、接着剤の除去を行なって頂ければ再接着からの修理をいたします。
  7. Q:直せないものはありますか?
    A:直火の当たる部分や、長時間加熱される場所は修理出来ません。具体的には、土鍋、アロマポット用受け皿、白熱球を使用するスタンドなどです。樹脂と漆では耐熱温度が異なりますが、基本的には熱湯使用時が上限温度と考えてください。
    また、アンティークで長期的な汚れが付着、蓄積している傷やヒビは、汚れによって修理剤が本体と密着しないため十分な接着強度を得られないことがあります。
    更に、修理後、常に湿気を伴う器(植木鉢など)は、著しく修理剤が劣化する可能性があるため修理をお断りすることがあります。
    その他、肉眼では確認できても、指で触ると凹凸が分からないヒビも、修理剤が浸透しないため修理することができません。金継ぎで表面に金層を被覆するだけでしたら可能です(被覆のみですので、ヒビ止めにはなりません)。
    写真などがプリントされた器(マグカップが多い)は、樹脂コーティングされており、樹脂を痛める可能性があるので基本的にはお断りしております。
    なお、こちらの作業スペースの問題で、50pを超える大きさのものは受け付けておりません。申し訳ありませんがご理解を頂きますようお願いいたします。
  8. Q:樹脂修理と特殊修理の違いは何ですか?
    A:。実用を前提とした修理が樹脂修理、実用を前提としない修理が特殊修理です。そのため、接着方法と使用する顔料(色粉)が異なります。
    樹脂修理は、実用したときに壊れることのないよう面接着を行い、破損状態によっては樹脂を盛り上げて強度を補強することもあります。また、耐水耐熱性の高い樹脂を使用します。なお、面接着は接着面積が広いのでしっかりと接着しますが、そのぶん、接着剤を多く使うので接着剤の厚みにより接着箇所が線として見えたり接着誤差が生じる場合があるという欠点があります。樹脂を着色するための顔料については、食用色素や天然の材料で口に入れても害のないものだけを使用しています。そのため、色数が少なく樹脂の色と器の色に多少の誤差がでることがあります。
    特殊修理は観賞用陶磁器や、壁飾りなど静置しておく陶磁器のための修理です。丈夫さよりも極力、破損前の状態に似せることを目的としています。そのため接着は点接着という必要最小限の接着剤を使用した修理になります。接着面積が少ないため強度が低く耐衝撃性がありません。また耐熱耐水性は考慮しないので修理後は物を乗せたり入れたりすることは出来ませんが、接着跡が見えにくいのが最大の特徴です。顔料は元の器の色に出来るだけ合わせることを目的としていますので、カドミウムなど人体に毒性の高い無機顔料も使うことがあります。無機顔料は種類が多いので色の幅が広く、修理箇所の色を似せることが出来るという特徴があります。
    以上が樹脂修理と特殊修理の違いです。当店は実用陶磁器を再び使用することを目的とした店なので、基本的に修理は樹脂修理を行っています。
  9. Q:修理したところが、また取れてしまいました。再修理できますか?
    A:はい。再修理いたします。
    修理は出来る限りしっかりと行っておりますが、修理剤を使用する以上、陶磁器同様の強度にはなりませんし、私自身の修理技術の未熟さもあります。また、あらゆる使用状況において修理強度が落ちないという実証が不可能なため、ほん陶では、ご依頼品の返却から1年以内を無償修理保証期間(送料のみお客様のご負担となります)とさせて頂いております。ご返却から1年以上でも割引額にて修理を行います。修理箇所を検証した際に修理技術上の問題と確認したときには無償にて修理することもあります。
    お手数をおかけして誠に申し訳ないのですが、実用的な陶器の修理技術向上のため、修理箇所が破損した時には、是非とも再修理のご連絡を頂きたくお願い申し上げます。
  10. Q:修理サンプルが少ないので、もう少し多く紹介してくれませんか?
    A:当店はお客様の個人情報保護厳守のため、ご依頼の内容や修理品の写真などの情報をネットやメディア上に公開することは一切行っておりません。また、今のところ現在のサンプルに追加を掲載する予定もありません。ご期待に添うことが出来ず誠に申し訳ないのですが、何卒、ご了承下さい。(修理サンプルは、ホームページを立ち上げる際、持ち主の方にお願いして了解を得たもののみ掲載してあります。)
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